誰が嘘をついているの?

道路公団が発注する鉄骨製橋梁で、公団OBが談合の中心にいたことが明らかになっている。ここまで来れば、公団そのものの組織的な関与が疑われるのは当然だろう。ところが内田道雄副総裁は談合組織の存在そのものもまったく知らなかったと言い、道路関係4公団民営化推進委員会の猪瀬直樹委員などから嘘つき呼ばわりされたという。それに反発した内田副総裁は委員懇親会への出席要請を拒否しているという記事が出ていた。

「嘘つき」とは言っていないと猪瀬委員は主張しているが、そのあたりの言葉使いは瑣末な問題。問題はただ一つ。この橋梁談合は公団ぐるみの談合だったのかどうかということである。常識的に言えば、ここまでしっかりした談合組織があって、しかもかつては「天の声」が当たり前の業界で、公団の幹部が談合組織についてまったく知らなかったなどというのはあり得ないことだろう。

もし本当に知らなかったのなら、それは副総裁として情報収集能力が問われるところである。逆に言えば、内田さんは怒ってみせたことで、自分は情報オンチですと宣言しているようなものだ。そのような人物が副総裁という要職に就いていること自体がおかしいと思う。

総裁に民間人を起用すれば道路公団を民営化することができるとする小泉さんの楽観主義もどうかと思うが、こんな人事では民営化などできっこないと開き直ることもできない近藤さんもいかがなものか。それとも近藤さん自身が民営化についてはあんまり熱心ではないのだろうか。生田総裁の経営手腕が高く評価されている郵政公社と、そもそも利権のかたまりでしかない道路公団とでは、伏魔殿ぶりが全然違うのだろうとも思う。

内田副総裁のような子供だましの弁解がまかり通るようでは、民営化して経営を透明にしようという試みなんか骨抜きにされるに決まっていると思う。メディアもそのあたりをもっときちんと突くことはできないのだろうか。

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コメント

談合、それは公社公団の発注にあっては昔からの常識。
私はかつて道路公団の関連会社にいたことがあるが、金や人のつながりがある発注先と「出来レース」で契約するのが当たり前でした。当事者にはそれが”談合”だという意識すら無く、相手先と金と人の関係を強める当然の業務として組織的に行なってきたことなのです。そういうことをうまく、そつなくこなした人が当然のように組織内でえらくなっていくわけで、「談合だ」と騒がれ非難されてもまだ「それが何故いけないのか?」と思っているのが実情ではないか。従って内田副総裁が「知らなかった」というのは、そらとぼけているのか、或いはいまだに談合という意識の無さが言わせたものではないか。
金と人との具体的な事例についてはまた改めて触れたいと思います。

日本の役人は中央も地方も腐りきっている。道路公団もしかり、公金の無駄遣いをなんとも思っていない。役人の天下りを関連業界から締め出すとともに談合の罰則を企業・個人とも厳罰にすべし。最低罰金を談合物件の落札額に引き上げよ。

 先日、経団連の奥田会長がインタビューに答えて、「(談合は)全国津々浦々に行きわたっている慣習のようなもので、地方では仕事を回し合っているワークシェアリング。本当にフェアな戦いをすれば、力の強いところが勝ち、弱いところは沈んでしまう」というようなコメントをされていました。談合が落札価格の高値を維持し納税者や消費者にとってマイナスになるとの問いに対しても「経済的な影響がどう出るかはそう簡単にはわからない」と答えられたとか。トヨタの部品メーカーが同じように「ワークシェアリング」をしたときも同じように理解を示すのかしらん?と不思議に感じました。
 自分が当事者でなければ談合を「慣習」としてある意味容認する、そういう周囲の姿勢にも疑問を感じます。
 
 

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