追悼にふさわしい場所

今朝の朝日新聞に、首相の靖国神社参拝に関するアンケート結果が載っていた。止めた方がよいとする人は52%、続けた方がよいとする人は36%だったという。止めた方がよいとする人の7割以上が、周辺国への配慮を理由に挙げた。続けた方がよいとする人の39%は、外国に言われて止めるのはおかしい、を理由に挙げている。

賛成派、反対派のいずれもが周辺国のことを理由のいちばんに挙げているところが、異様である。そもそも靖国に首相が参拝するかどうかのポイントは、靖国神社が先の大戦で亡くなった人々を追悼するのに最もふさわしい場所であるかどうかというところにある。もっと具体的に言えば、「不戦を誓う」場所として適当であるのかどうかだ。そのことを私たち日本国民がどう考えるかが問われているのであって、中国や韓国がどう思うかはその次の話だと思う。

そして僕は、三つの理由から、あの神社は「不戦を誓う」のにふさわしくないと思っている。だからもちろん首相の参拝には反対だ。一つめは、靖国神社が果たしてきた役割である。この神社は天皇のために戦い、死んだ兵士を神として祀るということで戦意を鼓舞してきた。つまり戦争させるための神社であること。二つめは、ここに祀られているのは兵士であって、一般民間人の犠牲者は入っていない。つまりあの大戦だけを考えても70万人ほどの犠牲者が祀られていない。三つめは、300万人を越える人々(敵国を入れればさらに犠牲者はふくれあがる)が亡くなっているのだから、そうした人々を慰霊する場は無宗教であることが望ましい。無宗教の施設であれば戦争で亡くなった家族を慰霊するのに抵抗のある人々はぐっと少なくなるはずだ。

こういったことを私たち日本人がどう考えたらいいのかをもっと議論する必要があると思う。それがないといつまでも歴史問題が日中や日韓の間に突き刺さったままになる。とにかく、一度靖国神社に行って、さまざまな資料に目を通してみたらどうだろう。終戦から60年。自分たちの知らない戦争のことを知るにはよい節目の年ではないだろうか。

トラックバック


コメント

靖国参拝反対の3つの理由、まったく賛成です。これまで私の50年の歴史中に長崎.広島の原爆記念館、沖縄の平和記念館、知覧の特攻隊の記念館、韓国の独立記念館などをおとずれる機会がありました。そこでは本当に今の平和のありがたさを感じ、犠牲になった方への慰霊の気持ちと涙は自然とこみ上げてきたものです。5年前靖国神社と資料館見学しました。ところが靖国神社で感じる雰囲気も、神社内の資料館でも、上記のところとはまったく異質のメッセージを感じます。やはり、突き詰めると戦争美化であり、戦争を進めた側の立場を正当化しています。平和の感性のある人ならすぐに感じることができるとおもいます。当時大学生だった息子も同じように感じていました。机上の論議より、皆、どんどんいろいろな戦争記念館を訪れ、慰霊し、そこからいかに靖国が奇異な存在かということを感じ取る事が大事だと思っています。

この記事へのコメントは終了しました。

ページトップへ